NK細胞(ナチュラルキラー細胞、Natural Killer Cell)
NK細胞は体内での第1の防御機構(自然免疫)を代表する免疫細胞です。
NK細胞は異常な細胞をキャッチすることができる様々な受容体をもっているため、
がん細胞やウイルスに感染した細胞などの異常な細胞を自らキャッチし、即時に除去します。
NK細胞の機能と重要性
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- 特定の抗原がなくても異常な細胞を
感知し、直接殺傷する
- NK細胞は異常な細胞をキャッチすることができる様々な受容体をもっているため、特定の抗原がなくても異常な細胞をキャッチし、即時に除去します。
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- 免疫系統を調節
- 後天性の免疫細胞(樹状細胞、T細胞、B細胞)の活性を誘導し、免疫反応と炎症反応を調節します。
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- がん細胞の増殖と再発転移を効果的に抑制
- がん幹細胞(Cancer Stem Cell, CSC)や循環腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell, CTC)を効果的に除去します。
NK細胞活性化及び殺傷メカニズム
- NK細胞は特定の抗原による刺激なく、細胞表面の様々な受容体(活性化及び抑制性受容体)の総合的なシグナル伝達のバランスにより活性が調節されます。
- 正常な細胞は、細胞の表面に免疫細胞と結合することができるタンパク質であるMHC(Major Histocompatibility Complex、主要組織適合性複合体)Class Iをもっています。NK細胞はMHC Class Iに特異的な抑制性受容体を発現しており、正常な細胞のMHC Class Iと結合すると活性が抑制されます。がん細胞や感染細胞などの異常な細胞は細胞表面のMHC class Iが減少または欠乏しますが、その場合NK細胞は抑制シグナルが減少または活性シグナルが増加し、がん細胞及び異常な細胞を攻撃して除去することができます。
- 活性化したNK細胞は様々な顆粒物質(パーフォリン、グランザイム)を合成し、細胞の外に分泌して異常な細胞を破壊します。そして、IFN-gammaやTNF-alphaなどの様々なサイトカイン(cytokine)やケモカイン(chemokine)を分泌して樹状細胞と直接作用し、後天性の免疫細胞を調節して活性化させます。
- Attack and remove cancer cell directly
- Recognize abnormal cells including cancer cells and remove them directly without a specific antigen.
- Cancer cell recognition by receptor
- Cytotoxic enzyme secretion
- Cancer cell removal
- Necrosis, Apoptosis
- Regulate immune and inflammatory
- responses-key role in regulating immune and inflammatory responses. (Nat Immunol. 2008 May;9(5):503-10, J. Immunol 2009; 182:3530-9.)
- INF-γ, TNF-α Cytokine Secretion (activator)
- Cancer cell antigen passed on to T cell
- Cancer cell removal
- B cell activation induced (Antibody production)
- Inhibition of proliferation/ relapse/ metastasis of cancer cells
- CSC/CTC removal which are important for cancer recurrence. (Nat Immunol. 2008 May;9(5):503-10, J. Immunol 2009; 182:3530-9.)
NK細胞を活用した研究分野
免疫系統のバランスが正常でないと様々な疾患が発生する可能性が高くなります。NK細胞の機能が弱くなると、外部感染に対して脆弱になり免疫バランスを維持しにくくなります。NK細胞は抗がん効果だけでなく、正常な免疫システムの維持にも役立つため、様々な分野でNK細胞の研究が行われています。
がん |
胃がん、乳がん、前立腺がん、膵臓がん、大腸がん、肺がん、肝臓がん、卵巣がん、子宮頸がん、血液がん など |
老化と感染症 |
帯状疱疹、アルツハイマー、老人性疾患、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症、エイズ(HIV)感染症、慢性肝炎 など |
自己免疫疾患 |
糖尿病、関節リウマチ、炎症性腸疾患(IBD)、全身エリテマトーデス(Lupus)、多発性硬化症 など |
その他 |
ストレス、慢性疲労、アンチエイジング など |